遺産分割審判

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産分割調停が成立しなかった場合は、原則として、遺産分割審判へと移行することになります。
遺産分割調停は、当事者間での合意を模索する手続きですから、ひたすら平行線となり、決着がつかないことがあります。これとは異なり、裁判官の判断により遺産の分割方法を決める手続が「遺産分割審判」になります。

遺産分割審判の開始

①遺産分割調停が不成立で遺産分割審判が開始されるときと、②調停を経ないで遺産分割審判が開始されるときがあります。

調停の不成立時

「遺産分割調停」は当事者間の合意によって成立します。

しかし、残念ながら当事者間に合意の成立する見込みがない場合や、成立した合意が相当でないと認められる場合には、調停委員会は、調停が成立しないものとして事件を終了することができます。

これを「調停の不成立」と言います。

そして、調停が不成立で終了した場合には、調停の申立時に「遺産分割の審判の申立て」があったものとみなされて、自動的に遺産分割事件は審判手続に移行して、審判手続が開始することになります。

このため、遺産分割審判手続の申立てや、改めて裁判所に手数料を納める必要はありません。

審判からの開始

また、遺産分割調停を経ずに、いきなり遺産分割審判を申し立てるという選択肢も法的には可能です。

もっとも、家庭裁判所は、審判の申し出があった場合にも、職権で調停に付することができます。

そして、家庭裁判所は、当事者の合意による解決を優先したいと考えますし、調停を経ることで証拠がそろうことがあります。

したがいまして、家庭裁判所は、遺産分割調停を経ないで、遺産分割審判を申し立てがあったときは、ほとんどの場合、遺産分割調停に付すると言われています。

遺産分割審判の流れ

調停手続では、調停委員が中心となって手続きを進めていましたが、審判手続では、裁判官(審判官)が手続きを進めていくことになります。

審判手続が始まりますと、まずは、調停で提出された主張や証拠を基にして、争点が洗い出されます。

通常は、調停手続である程度の合意が得られていますので、合意できなかった部分を審判手続の争点とすることになります。

その後、この争点について、更なる法律的な主張や、証拠提出を求められることになります。

審判期日の回数は、争点の数・複雑さ、遺産の数・内容、相続人の人数にもよりますが、数回程度で終わることが多いでしょう。

もし、遺産分割調停の段階で弁護士に依頼していない場合は、遺産分割審判の段階では弁護士に依頼したほうがよいでしょう。

遺産分割審判では、遺産分割調停よりも、法律を重視した厳格な判断がなされます。このため、遺産分割審判では、法的な主張が不可欠だからです。

審判手続の進め方について

審判においては、「職権主義」「非公開主義」を基本としていますが、当事者の手続保障を拡張するために「当事者主義」的な要素も取り入れられています。

具体的には、当事者等の記録閲覧謄写請求権、当事者の証拠調べ申立権、当事者双方の必要的陳述聴取等です。

審判では、原則として裁判官が中心となった職権証拠調べとされていますが、当事者にも証拠調べ申立権が認められていますから、当事者としては、有利な審判を得るために、積極的に有利な事実を明らかにしたり、証明をしていくべきでしょう。

遺産分割審判の内容

「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。」とされています(民法906条)。

分割方法

遺産の分割には、①現物分割②換価分割③代償分割④共有分割の4つの方法があります。また、これらの4つを組み合わせて分割をすることもあります。

①現物分割…個々の相続財産の形状や性質を変更することなく、それぞれについて取得者を決める方法

②換価分割…相続財産を売却等の換価処分により換金して、その代金を分配する方法

③代償分割…一部の相続人に相続分を超える額の財産を取得させる代わりに、他の相続人に対して金銭を支払わせる方法

④共有分割…相続財産の全部又は一部を、共有取得とする方法

原則的な方法は、「①現物分割」です。

これができないときや、分割することで著しく価額を減少するおそれがあるときは、「②換価分割」にするとされています(最判昭和30年5月31日)。

そして、特別の事情があるときには「③代償分割」となります(家事法195条)

①~③の方法がとれないときは、「④共有分割」となります。

そして、事案によってはこの4つを組み合わせた分割方法を裁判所は選択することもあります。

分割時の考慮要素

裁判所は、各相続人の取得すべき遺産の金額を判断した後に、以下のような事情を考慮して、具体的な分割方法を判断することになります。

・相続人の間に何らかの合意があるか

・相続財産の家屋に居住している者がいるか

・相続財産を利用して商店などの家業を営んでいる者がいるか

・相続財産の農地で農業を営んでいる者がいるか

審判の終了

相続人の主張や立証活動が尽くされていくうちに、遺産分割の「落としどころ」が見えてくることがあります。

審判の途中であっても、話し合いによって遺産分割が解決することもあります。この場合は、再度、調停に戻した上で、調停調書を作成して審判が終了します。

実務上は、審判から調停に戻されて終わることもあります。

審判手続を進めても相続人の間で遺産分割の合意がなされない場合は、最終的に、裁判官が「審判」を下します。

「審判」とは裁判の形式のひとつです。

即時抗告(不服申立)

もし、審判の内容に不服がある場合は、「即時抗告」の方法で不服申立をすることができます。

即時抗告は、審判を出した裁判所(原審裁判所)に書面で申立をすることになります。
書面に問題がない場合は、即時抗告の書面と各種の記録が高等裁判所に送られて、高等裁判所の判断がされることになります。

ただし、即時抗告が可能な期間は、告知を受けた日の翌日から2週間と決められていますので、注意しましょう。

審判の内容の確定と強制執行

即時抗告ができる期間が経過しますと、審判の内容は確定します。相続人は、確定した審判の内容に従って、遺産を分割することになります。

もし、審判の内容に従わない相続人がいる場合は、「強制執行」をすることも可能です。

裁判外での「遺産分割協議」も、裁判所内での「遺産分割調停」でも合意ができなかった場合には、このような遺産分割審判によって遺産分割手続を終えることができます。
遺産分割審判をお考えの場合には、1度、当事務所に御相談ください。